成人喘息における腹部内臓脂肪のインパクトとは?
- Haranaga Shusaku
- 2021年8月23日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年10月8日
Impact of Abdominal Visceral Adiposity on Adult Asthma Symptoms
J Allergy Clin Immunol Pract. 2019 Apr;7(4):1222-1229.e5. doi: 10.1016/j.jaip.2018.11.014.
背景:
肥満(特に女性において)が喘息の症状を悪化させることは良く知られているが、内臓脂肪の影響については不明。
目的:
本研究では内臓脂肪が身体計測値や性別に関係なく、成人喘息の症状にどのような影響を与えるか調査した。
方法:206名の日本人の喘息患者において、BMIや腹囲に加えて、CTでの内臓脂肪、皮下脂肪を評価した。QOLは日本版Asthma Quality of Life Questionnaire(AQLQ)を用いて評価した。
結果:
すべての肥満指数は女性の喘息QOLと逆相関
内臓脂肪面積だけが男性でのAQLQと逆相関

内臓脂肪は全体のACLQとも逆相関

内臓脂肪のみが、GERDスコアやうつ病スコアと関連


内臓脂肪面積のみが%1秒量と逆相関

Multiple mediation model of relationships between abdominal visceral fat, multiple mediators (FEV1, GERD, and depression), and AQLQ.

内臓脂肪は有意にGERD(p<0.006) FEV1の低下(p<0.012) うつ病(p<0.003)と関連
上記3つはACLQとも有意に関連(p<0.01)していた。
内臓脂肪は直接的にACLQにも関連(p<0 .001)していた。
結論:
性別に関係なく、腹部内臓脂肪が他の肥満指数と独立して、喘息関連QOLを低下させる
これは内臓脂肪が予測1秒量を低下させ、GERDやうつ病のリスクを高めることと関連していることで説明可能である。
内臓脂肪は他の肥満指数と比較して、喘息症状に影響を与える可能性がある。
これまで女性の肥満がコントロール不良喘息のキーワードの一つであったが、内臓脂肪に注目すると、性差はなくなることを示唆する報告である。喘息患者すべてにCT撮影は推奨されないがコントロール不良喘息では、腹部CTで内臓脂肪を確認してもよいかもしれない。
今後は減量による内臓脂肪の減少が喘息コントロールにどのような影響が出るか知りたいところである。
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